シート防水材とは

シート防水の歴史

日本におけるシート防水は昭和27年(1952年)に旧国鉄の車両屋根に難燃性を特長とする塩化ビニル樹脂系シートがはじめて採用されました。

実際建築物の屋上にシート防水(塩化ビニル樹脂系シート)を試験施工するまでには、国鉄の車両屋根採用から5年を経た昭和32年(1957年)まで待つこととなります。

昭和37年(1962年)から昭和42年(1967年)の5年間に、加硫ゴム系シートエチレン酢酸ビニル樹脂系シート非加硫ゴム系シートと現在主要なシート防水材料が続々と登場し、市場の拡大と建築技術の多様化に伴い熱可塑性エラストマー系シートシート防水機械固定工法など環境に対応させた新しい材料・工法が上市され現在に至っています。

昭和45年(1970年)、前身である「合成高分子ルーフィング懇談会」が発足し8年後の昭和53年(1978年)に「合成高分子ルーフィング工業会(KRK)」に改組されました。

KRKはシート防水の材料面である「JIS規格」、工法面である「建築学会標準仕様書(JASS-8)」及び「公共建築工事共通仕様書」、工事面である「シート防水技能検定」等に参画協力してシート防水の発展に努力してまいりました。

平成3年(1991年)にはシート防水の年間出荷量が2800万㎡とピークに達し、材料の品質、工法の信頼性、工事技能の確かさが認められ、民間はもちろん、全国の官公庁、自治体にて防水工事の主流として普及し高い評価を得ています。

平成18年(2006年)には、日本防水材料連合会(JWMA)の設立に参画しました。現在、防水5団体が加盟しています。その中でKRKは、積極的に日本建築学会等の活動に参加し、技術的にも発展を続けています。

平成20年(2008年)12月には、高反射率防高反射水シートのKRK規格を制定しました。防水業界では最初に高反射率防水の規格を制定し、この規格を元に環境省の設定した“グリーン購入法”の特定調達品に高日射反射率防水の採用が始まりました。更に、CASBEE 2010 年版では補助資料に(社)日本塗料工業会規格とともにKRK規格が紹介されており、KRKは環境面での防水業界をリードしています。

KRKは、平成21年(2009年)には、KRK創立40周年を迎え、平成25年度(2013年度)までの累計生産量は、8億5千万㎡を超えました。

暦 年 要 旨
昭和27年(1952)
  • 塩化ビニル樹脂系シートが国鉄車輌屋根材として採用
出典
毎日新聞社
決定版昭和史
わが国におけるシート防水の黎明
 
 
昭和26年(1951)国鉄桜木町駅構内において車輌火災発生、焼死者多数を出す大惨事となる。この事件を契機に車輌屋根防水材の見直しがなされ、難燃性である塩化ビニル樹脂系シートが採用された。
昭和32年(1957)
  • 国鉄が、ドイツ製ポリイソブチレンシートを採用
  • 塩化ビニル樹脂系床材を屋上に防水シートとして試験施工
昭和37年(1962)
  • 加硫ゴム系シート登場
昭和40年(1965)
  • EPDM系加硫ゴムシート登場
昭和41年(1966)
  • エチレン酢酸ビニル樹脂系シート登場
昭和42年(1967)
  • 非加硫ブチルゴム系シート登場
昭和44年(1969)
  • JIS A 6008「合成高分子ルーフィング」制定
昭和45年(1970)
  • 合成高分子ルーフィング懇話会(略称KRK)発足
  • JIS A 6009「基布その他を積層した合成高分子ルーフィング」制定
昭和47年(1972)
  • 日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 8 防水工事」第1版発刊
    (3節「屋根合成高分子ルーフィング防水工事」として採用される)
昭和48年(1973)
  • 建設省「建築工事共通仕様書」48年度版に合成高分子ルーフィング採用
昭和49年(1974)
  • 塩化ビニル樹脂系シート機械的固定工法登場
  • JIS A 6008,6009のJISマーク表示許可の品目指定
昭和50年(1975)
  • KRK統計 シート防水材料 生産1000万㎡達成
昭和51年(1976)
  • シート防水工事業団体連合会(シート工連)発足
昭和53年(1978)
  • シート防水技能士誕生(労働省認定)
  • KRK、合成高分子ルーフィング工業会に改組
昭和54年(1979)
  • KRK統計 シート防水材料 生産2000万㎡達成
昭和55年(1980)
  • KRK編「シート防水マニュアル」発刊
昭和60年(1985)
  • KRK・シート工連共編「屋根防水改修マニュアル」発刊
昭和61年(1986)
  • KRK編「シート防水マニュアル」(加硫ゴム系、改質アスファルト系)発刊
  • KRK・シート工連共編「シート防水施工の手引き」発刊
昭和62年(1987)
  • KRK編「シート防水カタログ・塩化ビニル樹脂系」発刊
昭和63年(1988)
  • JASS 8 「メンブレン防水層の性能評価試験方法(案)」によるシート防水層評価試験実施(KRKによる)
平成元年(1989)
  • KRK20年記念行事開催
  • 日本建築学会大会論文発表「シート防水層の性能評価試験」
平成2年(1990)
  • 全国防水工事業協会結成(略称 全防協)内部にシート部会発足し、シート防水工事業団体連合会が発展的解散
平成3年(1991)
  • NRCA(米国 National Roofing Contractors Association)
    第3回ルーフィング技術に関する国際シンポジウムで論文発表
    「Assessment of single-ply roofing in Japan」
  • KRK統計 シート防水材料 生産2800万㎡達成
平成4年(1992)
  • JIS A 6009廃止、JIS A 6008「合成高分子系ルーフィングシート」に統合
  • 日本建築学会大会論文発表「JIS A 6009 対象品性能試験 引張試験及び結果」
平成5年(1993)
  • KRK編小冊子「塩化ビニル樹脂系防水シートと環境問題について」発刊
  • 日本建築学会論文発表「防水材料の屋外暴露試験」
平成6年(1994)
  • 耐風性の研究会発足(指導:東京工業大学田中研究室)
  • 日本建築学会大会論文発表「シート防水層の耐根性評価試験」
平成7年(1995)
  • 加硫ゴム系シートの機械的固定工法登場
平成8年(1996)
  • シート防水強風地域仕様書の作成
  • シート防水の製造物責任に関するガイドライン作成
  • 日本建築学会大会論文発表「1995年 兵庫県南部地震における防水層被害調査報告」
平成9年(1997)
  • JIS A 6008「合成高分子系ルーフィングシート」改正
  • NRCA(米国 National Roofing Contractors Association)
    第4回ルーフィング技術に関するシンポジウムで論文発表
    “Application of PVC Membrane on Pitched Roofs for Museum Roof Gardens”
平成10年(1998)
  • 日本建築学会大会論文発表「使用済み加硫ゴム系シートの再生ゴムシートとしての検討」
  • ALC構造における耐震構造用シート防水の研究(建築研究所、ALC協会主催)公開実験実施
  • 「防水層耐久性能評価試験方法」(JASS 8)確立
  • 建築基準法改正
平成11年(1999)
  • 日本建築学会大会論文発表「均質塩ビ系防水シートのリサイクル可能性の検討」
  • KRK内に熱可塑性エラストマー系シート部会発足
  • 住宅の品質確保の促進等に関する法律公布
平成12年(2000)
  • 日本建築学会大会論文発表「複合塩ビ防水シートの粉砕分離による再生化」
  • 中国工程建築標準化協会でJASS 8説明会開催
  • 建築基準法施行令告示(防火、風荷重、地下防水)
  • 住宅紛争処理のための技術資料(シート防水編)作成協力
  • シート防水工事検査チェックリスト・同解説完了
平成13年(2001)
  • 日本建築学会大会論文発表「熱可塑性ポリオレフィン樹脂系防水シートのリサイクル可能性の検討」
  • 日本建築学会「防水材料促進耐候性試験委員会」発足(北海道、筑波、沖縄防水材長期暴露試験開始)
平成14年(2002)
  • JIS A 6008「合成高分子系ルーフィングシート」改正
    (熱可塑性エラストマー系シートが採用)
  • 「シート防水マニュアル」を全面改訂
平成15年(2003)
  • 日本建築学会大会論文発表「シート防水における露出断熱仕様の調査(その1.調査の概要、その2.事故例と仕様、その3.品質調査)」
  • 第9回リフォーム・リニューアル・コンバージョン展に出展
平成16年(2004)
  • 「公共建築工事標準仕様書」改訂(熱可塑性エラストマー系シートの機械固定工法が採用)
    「公共建築改修工事共通仕様書」(露出断熱仕様の採用)
  • 日本建築学会大会論文発表「シート防水における露出断熱仕様の調査(その4.塩ビシートの品質調査)」「加硫ゴム系シートの高耐久仕様」
    「EVA系シートの品質評価」
  • 第10回リフォーム・リニューアル・コンバージョン展に出展
  • 各省庁の仕様統一
平成17年(2005)
  • 日本建築学会大会論文発表「シート防水における露出 断熱仕様の調査(その5.断熱材に関する調査と断熱材の固定について)」
    「水系接着剤による加硫ゴム系シート防水工法の開発」
  • 第11回リフォーム・リニューアル展に出展
  • 「日本の防水100年のあゆみ」発刊(全防協)
平成18年(2006)
  • 日本防水材料連合会(JWMA)設立。合成高分子ルーフィング工業会、アスファルトルーフィング工業会、トーチ工法ルーフィング工業会、日本ウレタン建材工業会の4団体が加盟
  • 日本建築学会大会論文発表「シート防水における機械的固定工法の試験方法検討」(その1現状調査、その2防水下地と固定用アンカーの繰り返し疲労試験、その3円盤状固定金具と固定用アンカーの引抜試験 接合部内固定の防水シート剥離・破断試験、その4固定用アンカーの引抜試験 円盤状固定金具と防水シートの接合強度試験)
  • 広報誌「KRK2006」vol.1の発刊
平成19年(2007)
  • 日本防水材料連合会にFRP防水材工業会加盟
  • 公共建築工事標準仕様書、公共建築改修工事標準仕様書、建築改修工事監理指針が改定された。標準仕様書では採用目安にて従来( )書きの扱いであったシート防水が他の仕様と同様に扱われることとなった
  • 日本建築学会大会論文発表「加硫ゴム機械的固定工法における接合部内施工法の検討その1 接合部内固定位置の違いによる静的荷重試験結果」
  • 広報誌「KRK2007」vol.2の発刊
平成20年(2008)
  • 日本建築学会「建築工事標準仕様書JASS8防水工事」が改訂された。加硫ゴム系シート機械的固定工法、金属下地断熱機械的固定工法仕様および熱可塑性エラストマー系シート防水断熱機械的固定仕様が記載された
  • 高反射率防水シートのKRK規格制定
  • KRK編「金属下地マニュアル」を作成
  • KRK編「加硫ゴムシートマニュアル」の改訂
  • 防水専門誌へのシート防水Q&Aの投稿
  • 日中防水技術交流会開催。日本建築学会「建築工事標準仕様書JASS8防水工事」の説明が行われた
  • 日本建築学会大会論文発表「加硫ゴム機械的固定工法における接合部内施工法の検討その1 大型減圧試験での検証」「TPEシート機械的固定工法における接合部内施工法耐風圧性能評価の検討 減圧大型試験機による静的荷重・動的荷重試験」
  • 広報誌「KRK2008」vol.3の発刊
平成21年(2009)
  • 40周年記念誌「KRK40年の記録」の発行
  • KRK事務所を中央区日本橋久松町へ移転
  • 日本建築学会大会論文発表「加硫ゴム系シートの接合仕様検討」
  • 広報誌「KRK2009」vol.4の発刊
平成22年(2010)
  • 公共建築工事標準仕様書、公共建築改修工事標準仕様書の改訂
  • 高反射率防水のグリーン調達品目指定
  • KRK編「シート防水マニュアル」の改訂
  • 日本建築学会大会論文発表「強風下における機械的固定工法による防水層の挙動」「防水材料の耐候性」
  • 広報誌「KRK2010」vol.5の発刊
平成23年(2011)
  • 国土交通省総合技術開発プロジェクト(第2総プロ)報告書が発表され、シート防水の耐用年数が従来の13年から15年に延長する案が示された
  • 加硫ゴム系シート防水接着高断熱仕様の制定
  • 日本防水材料連合会(JWMA)の一般社団法人化
  • 都市再生機構技術研究所との共同研究実施
  • 日本建築学会大会論文発表「メンブレン防水の屋外暴露後の性能評価試験結果」「加硫ゴム系シート防水高断熱仕様の検討」
  • 広報誌「KRK2011」vol.6の発刊
平成24年(2012)
  • 日本建築学会(東海大会)論文発表
    「機械的固定工法防水層の耐風性評価その3 いくつかの機械的固定工法の耐風性試験結果」
    「加硫ゴム系シート防水高断熱防水仕様の検討その2 防火性能評価」
  • KRK会則改定
  • 広報誌「KRK2012」vol.7の発刊
平成25年(2013)
  • 日本建築学会(北海道大会)論文発表
    「機械的固定工法防水層の耐風性評価その4 断熱材上面を鉄板等で補強した工法について」
    「機械的固定工法防水層の耐風性評価その5 断熱材を接着補強した金属屋根下地試験体の場合」
    「エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)系シート防水の性能評価 10年以上経過した防水層の現状調査および採取したシートの物性測定」
    「高日射反射率防水層の屋外暴露性能評価 試験方法および評価計画」
    「防水材料の耐候性その48 加硫ゴムシート防水材の屋外暴露試験と促進暴露試験」
    「防水材料の耐候性その49 塩ビシート防水材の屋外暴露試験と促進暴露試験」
  • 公共建築工事標準仕様書にシート防水断熱工法が採用される
  • 公共建築協会「公共建築工事標準仕様書」「公共建築改修工事共通仕様書」改訂
  • 「エネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準」制定
  • 広報誌「KRK2013」vol.8の発刊
平成26年(2014)
  • 日本建築学会(近畿大会)論文発表
    「エチレン酢酸ビニル樹脂系シートの物性評価 暴露したEVA系シートの物性測定(その1)」
    「機械的固定工法防水層の耐風性評価その6 円盤状固定金具を補強した金属屋根下地試験体の場合」
    「高日射反射率防水層の屋外暴露性能評価その2 屋外暴露品の日射反射率の経時変化と明度の関係」
    「高日射反射率防水層の屋外暴露性能評価その3 合成高分子系シート防水層の温度低減率」
    「高日射反射率防水層の屋外暴露性能評価その6 各種防水層の温度低減率と反射性能パラメーターとの相関に関する考察」
  • シート防水マニュアル改定
  • 都市再生機構「保全仕様書」に加硫ゴム系シート防水部分接着断熱工法及び通気緩衝接着工法が採用される
  • 公共住宅建設工事共通仕様にシート防水断熱工法が採用される
  • JASS 8改定
  • 公共住宅建設工事共通仕様書改定
  • 断熱材のJIS規格改定
  • 広報誌「KRK2014」vol.9の発刊
平成27年(2015)
  • 日本建築学会(関東大会)論文発表
    「耐風性性能評価研究会の研究成果」
    「ビス固定の躯体への影響評価について日本大学との共同研究成果」
    「EVA系シートの経年物件における接着強度試験結果及び促進劣化試験結果について」
  • 広報誌「KRK2015」vol.10の発刊
平成28年(2016)
  • 日本建築学会(九州)大会論文発表
    「外装材耐風圧性能試験装置を用いた機械的固定工法防水材の耐風性試験の検討
    その3 錘積載法の試験概要と鉛直力・水平力の確認 」
    「防水材料の耐候性試験その2 長期屋外暴露した均質加硫ゴム系防水シートの評価 」
  • 広報誌「KRK2016」vol.11の発刊
平成29年(2017)
  • シート防水マニュアル改定
  • 広報誌「KRK2017」vol.12の発刊
平成30年(2018)
  • 日本建築学会(東北)大会論文発表
    「加硫ゴム系シートに仕上塗料を塗布した屋外暴露試験 その1」
    「ポリマーセメントペーストを用いたシート防水構法に関する研究
     第1報 下地コンクリートの施工条件が接着強度に及ぼす影響(その1)」
    「防水材料の耐候性試験 その6 シート防水材(加硫ゴム系・エチレン酢ビ系)の屋外暴露試験」
  • カタログ「EVA系シート防水」の改訂
  • カタログ「加硫ゴムシート防水」の改訂
  • カタログ「塩ビ・TPE防水シート」の改訂
  • 広報誌「KRK2018」vol.13の発刊