仕様と施工

シート防水工事に係わる法令、基準など

屋根の防火関連規定について

屋根の防火関連規定について 平成12年6月1日より施行されました「建築基準法」の防火関連規定は、規制内容の明確化・簡素化、国際的整合化を背景に、防火・準防火地域内の屋根の構造制限の規定および法22条区域の屋根の構造制限の規定では、建築基準の性能規定化が図られました。以下にその内容について説明します。

  1. 飛び火に関する防火性能について
  2. 屋根に必要な性能に関する技術的基準の概要
  3. 防火・準防火地域内の屋根について
  4. 法22条区域内の屋根について
  5. 用語説明

1.飛び火に関する防火性能について

合成高分子系ルーフィングシート(シート防水)とは

合成高分子系ルーフィングシート(JIS A 6008)は、一般にシート防水材とよばれている。シート防水材は、合成ゴム系シート(加硫ゴム、非加硫ゴム)、合成樹脂系シート(塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂)及び熱可塑性エラストマー系シート(オレフィン)に分類される。それぞれのシートの特徴を生かし、新築工事、改修工事に広く、使用されている。合成ゴム系及び合成樹脂系の防水材は、1960~1970年頃から使用されており信頼性も高く防水材の主流として評価されている。熱可塑性エラストマー系シートは、環境にやさしい材料として最近上市され、今後期待される防水材である。また、工法は接着剤で下地に接着させる工法と固定金具で機械的に下地に固定する機械的固定工法の2種がある。シート防水材は、耐候性が非常に優れており、露出した状態で非歩行屋根の防水に利用されることが多く、この場合、飛び火等の防火性能が問われる。現在の飛び火に関する防火性能は以下の状況である。


合成高分子系ルーフィングシートの飛び火に関する防火性能


(1)大臣が定めた構造方法(例示仕様) 平成12年度建設省告示1365号

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法63条の規定に基づき、防火地域または準防火地域内の建築物の屋根の構造方法を次のように定める
第1 令136条の2の2各号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、次に定めるものとする
不燃材料で造るか、またはふくこと
屋根を準耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったものに限る)とすること
屋根を耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったもので、かつ、その勾配が水平面から30度以内のものに限る)の屋外面に断熱材(ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォームその他これらに類する材料を用いたもので、その厚さの合計が50mm以下のものに限る)および防水材(アスファルト防水工法、改質アスファルトシート防水工法、塩化ビニル樹脂系シート防水工法、ゴム系シート防水工法または塗膜防水工法を用いたものに限る)を張ったものとすること
第2 令136条の2の2第一号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、第1に定めるもののほか、難燃材料で造るか、またはふくこととする
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-
附則
この告示は、平成12年6月1日から施行する

◇屋根が耐火構造で勾配が30°以下の場合、断熱材の厚さが50mm以下では、合成ゴムシート及び塩化ビニル樹脂系シートによる防水構造が認められている。


(2)国土交通大臣による認定

[下記の構造方法又は建築材料については、建築基準法第68条の26第1項の規定に基づき、同法63条及び同法施行令第136条の2の2(防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根)の規定に適合する。]


認定を受けた各種シート防水の仕様と認定番号

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会社名 国土交通大臣認定番号 シート防水材の
種類
下地材の
種類
工法の種類 断熱材 ホーム
ページ
種類 厚さ
アーキヤマデ(株) DR-1949(3) 塩化ビニル樹脂系シート RC・ALC・Pca 機械的固定工法 ポリウレタン 25~150mm HP
DR-1819-1 機械的固定工法 ポリスチレン
DR-1964(2) 機械的固定工法 ポリスチレン
+ボード
DR-1968(2) 機械的固定工法 ポリウレタン
+ボード
DR-1964(2) 機械的固定工法・
接着工法
ポリスチレン
+ボード
DR-1968(2) 機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン
+ボード
DR-1918 接着工法 ポリウレタン 50~150mm
DR-2082(2) RC・ALC・Pca
(傾斜角0~70°)
     
DR-2083(2) RC・ALC・Pca
(傾斜角0~70°)
機械的固定工法・
接着工法
なし なし
DR-1884-1 金属下地 機械的固定工法 ポリウレタン 25~150mm
DR-1623-1 機械的固定工法・
接着工法
ポリスチレン
+金属板
DR-2057(1) 機械的固定工法 ボード
+ポリウレタン
DR-2057(2) 機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン
+ボード
DR-1950(2) 金属板下地
(傾斜角30~70°)
機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン
DR-1934(2) 木製下地 機械的固定工法 なし なし
DR-0243-1 機械的固定工法 ポリスチレン 20~150mm
DR-1949(1) 機械的固定工法 ポリウレタン
DR-1964(1) 機械的固定工法 ポリスチレン
+ボード
25~150mm
DR-1968(1) 機械的固定工法 ポリウレタン
+ボード
DR-1934(2) 機械的固定工法 なし なし
DR-1964(1) 機械的固定工法・
接着工法
ポリスチレン
+ボード
25~150mm
DR-1968(1) 機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン
+ボード
DR-1950(3) 木製下地
(傾斜角0~70°)
機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン
+ボード
なし
住べシート防水(株) DR-0164 塩化ビニル樹脂系シート 木質系ボード
木質系セメント板
RC・Pca・ALC
機械的固定工法 フェノールフォーム 20~150mm HP
DR-0227 デッキプレート
フラットデッキプレート
DR-1915(1) 木質系ボード
木質系セメント板
ポリスチレンフォーム
(JIS A9521)
20~150mm
DR-1915(3) RC,Pca,ALC
DR-1915(4)
DR-1916(1) デッキプレート
フラットデッキプレート
DR-1966(1) 木質系ボード
木質系セメント板
硬質ウレタンフォーム
(JIS A9521)
アキレスボード限定
25~150mm
DR-1966(2) RC,Pca,ALC
DR-1966(4)
DR-1967(3) デッキプレート
フラットデッキプレート
50~150mm
田島ルーフィング(株) DR-2015(6) 塩化ビニル樹脂系シート RC・ALC・Pca 機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン 25~150mm HP
DR-0467-1(2) 機械的固定工法 ポリスチレン 150mm以下
DR-2015(6) 金属下地 機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン 25~150mm
DR-2015(6) 木製パネル
(直交集成板)
機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン 25~150mm
DR-1969-1(2) 機械的固定工法・
接着工法
なし なし
DR-2015(3) 木質系ボード
木質系セメントボード
機械的固定工法・
接着工法
ポリウレタン 25~150mm
DR-1969(2) 機械的固定工法・
接着工法
なし なし
DR-0467-1(1) 木質系ボード 機械的固定工法 ポリスチレン 150mm以下
早川ゴム(株) DR-0024 塩化ビニル樹脂系シート RC・ALC・Pca 機械的固定工法 ポリスチレン 50~150mm HP
DR-0048 金属下地 機械的固定工法 ポリウレタン 50~100mm
DR-0151 木製下地 機械的固定工法・
接着工法
なし なし
DR-0153 金属下地 機械的固定工法 ポリウレタン 25~150mm
DR-0248 木製下地 機械的固定工法 ポリウレタン 10~150mm
DR-0492 木製下地 機械的固定工法 ポリスチレン 25mm
DR-1649 木製下地 機械的固定工法・
接着工法
なし なし
ロンシール工業(株) DR-0487 塩化ビニル樹脂系シート  RC・ALC・Pca 接着工法 ポリスチレン 15~100mm HP
DR-0485 木製下地 接着工法 ポリスチレン 15~100mm

 詳細に関しては各社にお問い合わせ下さい。